GA4のform_submitを「問い合わせ数」にしてはいけない。フォーム実数と2倍ずれた話

GA4のform_submitを「問い合わせ数」にしてはいけない。フォーム実数と2倍ずれた話
月次レポートに「フォーム問い合わせ:190件」と書いてあって、フォームツールの管理画面を開いたら107件だった。こういう経験はないでしょうか。
ある案件のSEO振り返りで、まさにこれが起きました。GA4のform_submitイベント(=Googleアナリティクスが自動で数えるフォーム送信)をレポートの「問い合わせ数」として使っていたのですが、フォームツール側の実際の送信データと突き合わせたら、GA4のほうが2倍近く多かったのです。
どちらかが噓をついているわけではありません。form_submitは「問い合わせ」を数えるイベントではない、というだけの話です。この記事では、なぜずれるのか、どちらを正とすべきか、実務でどう運用を分けるかを書きます。
結論:完了数はフォームツール側を正にする。GA4は行動分析用
整理すると役割分担はこうなります。
知りたいこと | 使うデータ | 理由 |
|---|---|---|
問い合わせが何件来たか | フォームツールの送信データ(Jotform、formrun等) | 実際に届いた送信そのもの |
問い合わせた人がどこから来たか・何を見たか | GA4 | 行動ログが取れるのはこちらだけ |
月次レポートのKPI | フォームツール側の実数 | 再現可能で誰が数えても同じ |
GA4のform_submitをKPIにしてしまうと、後述の理由で過大計上になり、改善施策の効果測定が全部濁ります。

なぜずれるのか:form_submitは「ページ内のフォームっぽい送信」を全部拾う
form_submitはGA4の拡張計測(=設定ひとつで自動的に色々数えてくれる機能)のイベントです。便利な反面、何を「フォーム送信」とみなすかはGoogle側のロジック任せになります。
実際に拾ってしまうものの例を挙げます。
- サイト内検索ボックスの送信
- メルマガ登録などの問い合わせ以外のフォーム
- ログインフォームや絞り込みフィルタ
- 送信ボタンを押したが入力エラーで実際には完了しなかった操作
- 同じ人がエラーで何度も押した重複
つまりform_submitは「フォームというUIが操作された回数」であって、「問い合わせが成立した件数」ではありません。ページ構成によっては実数の2倍にも3倍にもなります。逆に、JavaScriptで送信するタイプのフォームだと拾えず過少になることもあり、ずれる方向すら一定しません。
実話:突合して初めて「指標として使えない」と確定した
その案件では、月次レポートの問い合わせ数をGA4ベースで報告していました。あるとき問い合わせの内訳を深掘りすることになり、フォームツール側の送信データをBigQuery(=Googleのデータ分析基盤)に取り込んで、1件単位でGA4と突き合わせました。
結果、その月のGA4 form_submitはフォーム実数の2倍近くありました。差分を調べると、問い合わせフォーム以外の操作が大量に混ざっていた。この瞬間に「form_submitはKPIから外す」が確定しました。
ここで大事なのは、ずれの存在は突合するまで誰も気づかなかったことです。GA4の数字は毎月それらしく増減していて、単体で見ている限り違和感がありません。レポートの数字を疑うきっかけは「2つのソースを同じ定義で並べる」以外にないのです。
実務での切り分け方:3ステップ
- フォームツール側の送信データを正として固定する。管理画面の件数でもいいですが、可能ならBigQueryやスプレッドシートに送信ログを自動で溜めると、後の突合・分析が楽になります
- GA4側は「誰が・どこから・何を見て送信したか」専用にする。フォームにGAのclient_id(=ブラウザ単位の識別子)を隠しフィールドで渡しておくと、送信1件ごとに流入チャネルや閲覧ページを後から引けます
- レポートの注記に指標の定義を書く。「問い合わせ数=フォームツールの送信実数」と一行書いておくだけで、関係者間の「数字が合わない」論争が消えます

アンチパターン:GA4のキーイベント登録で解決した気になる
form_submitをGA4の「キーイベント」(旧コンバージョン)に登録して、それをKPIにしているケースをよく見ます。登録しても中身は同じform_submitなので、過大計上は1件も直りません。見た目がコンバージョンという名前になるぶん、むしろ疑われにくくなります。
どうしてもGA4側で問い合わせ完了を数えたい場合は、拡張計測に頼らず、サンクスページ表示や送信成功時のカスタムイベント(フォームツールのコールバックやGTMで発火)を自前で実装するのが筋です。それでも私は、完了数の正はフォームツール側に置くことを勧めます。計測タグはサイト改修で静かに壊れますが、フォームツールの送信ログは送信がある限り残るからです。
まとめ
- GA4のform_submitは「フォームUIの操作回数」。問い合わせ数として使うと過大計上になる
- 完了数の正はフォームツール側の送信実数。GA4は流入・行動分析用と役割を分ける
- ずれは突合するまで見えない。月に一度、2つのソースを同じ定義で並べる習慣が効く
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