医療広告のNGワードは媒体で違う。Google広告とYahoo広告で「再生医療」の扱いが分かれる

医療広告のNGワードは媒体で違う。Google広告とYahoo広告で「再生医療」の扱いが分かれる
医療系の広告を運用していて、こんな場面に出くわしたことはないでしょうか。
「同じ広告文なのに、Yahoo広告では通ったのにGoogle広告で審査落ちした」
設定ミスでも、審査担当の気まぐれでもありません。広告媒体ごとに、医療広告のポリシーとNGワードが違うのが原因です。特に「再生医療」「幹細胞」のような先進的な医療の表現は、媒体によってOKだったりNGだったりします。
怖いのは、ここを軽く見ると審査落ちで止まるだけでは済まない点です。同じ違反を繰り返すとアカウントごと停止されることもあります。出稿の入口を一つ失うと、復旧に時間も手間もかかります。「他の媒体でOKだったから大丈夫」という思い込みが、医療広告では一番の事故源になる。
この記事は、医療系の広告を運用する担当者・代理店・経営層に向けて、媒体ごとのNGワードの違いにハマらない考え方と、媒体を特定してから照合する手順を共有します。実際にNGワードを誤って入稿しかけた失敗から確立したチェックフローも、そのまま載せます。
※ 本記事の媒体ポリシーに関する記述は2026年5月時点のものです。各媒体のポリシーは更新されるため、出稿前には必ず最新の媒体ポリシーと、薬機法・医療広告ガイドライン(=厚生労働省が定める医療の広告表現の規制)の専門的確認を行ってください。
結論:媒体を特定してから、その媒体のNGワードを照合する
やることは多くありません。次の流れに沿うだけです。
- その広告文がどの媒体(Google広告 / Yahoo広告 / 両方)向けか特定する
- 特定した媒体のNGワードリストと、広告文を逐語で照合する
- 資料と指示が食い違ったら、自己判断で進めず確認する
医療広告のNGワードは媒体ごとに違います。「再生医療」「幹細胞治療」は、Google広告ではNG、Yahoo広告ではOK(2026年5月時点)。だから「全媒体共通のNGワードリスト」で済ませると、媒体差を見落とします。媒体を特定してから照合する。これが審査落ちとアカウント停止を避ける最小構成です。
逆に言えば、この順番さえ崩さなければ、医療広告のNGワード照合はそれほど複雑な作業ではありません。崩れるのはたいてい「他の媒体で通ったから流用した」ときです。

なぜ媒体でNGワードが違うのか
そもそも、なぜ同じ表現が媒体で分かれるのか。背景にあるのは各媒体のポリシーの拠り所の違いです。
- Google広告:グローバルポリシーを適用。「実証されていない・実験的な医療技術(Unproven and experimental medical techniques)」を世界的に制限している
- Yahoo広告:国内の規制(厚生労働省のガイドライン等)に準拠
Google広告は世界共通の基準で審査するため、国内では認められている先進医療でも、グローバルの制限カテゴリに入ると弾かれます。Yahoo広告は国内の基準に沿うので、判定の前提がそもそも別物です。同じ広告文を投げても、見ている物差しが違えば結果が分かれるのは当然、というわけです。
「再生医療」「幹細胞」の例
媒体 | 再生医療・幹細胞治療 | 根拠 |
|---|---|---|
Google広告 | NG | グローバルの先進医療制限ポリシー(実証されていない医療技術) |
Yahoo広告 | OK | 国内ガイドライン準拠 |
Google広告は、再生医療や幹細胞治療を「実証されていない医療技術」のカテゴリで制限しています。Yahoo広告は国内基準に沿うので、これらの表現が使えます。
つまり「Yahoo広告で通ったから、Google広告でも大丈夫だろう」は通用しません。同じ表現が、片方では正常、片方では違反になります。
全媒体共通でNGの表現もある
媒体差がある一方で、ほぼ全媒体で共通してNGになる表現もあります。誇大表現・断定表現の類です。
- 「治る」「完治する」
- 「100%」「必ず」
- 「副作用なし」「リスクゼロ」
これらは医療広告ガイドラインや景品表示法(=消費者をだます誇大な表示を禁じる法律)に抵触するため、媒体を問わずNGです。効果を保証する表現、最上級を断定する表現は、どの媒体でも避けます。
整理すると、医療広告のNGワードは「全媒体共通でNGの層」と「媒体ごとに分かれる層」の二段構え。共通層だけ覚えて満足すると、媒体ごとに分かれる層で足をすくわれます。
失敗から学んだチェックフロー

ここからは実話です。私自身が医療広告のNGワードを誤って入稿しかけた経験があります。
ある医療系の案件で、膝の治療を訴求する広告文を作りました。「再生医療」という言葉を含む、いかにも刺さりそうなコピーです。これをGoogle広告向けに提案したのですが、前述のとおり「再生医療」はGoogle広告ではNG。そのまま出していれば審査落ちでした。
厄介だったのは、手元の資料には「再生医療はGoogle広告でNG」と書いてあったのに、別の情報源が「Google広告でも使える」と食い違っていたことです。矛盾には気づいていました。にもかかわらず確認を取らず、「使える」のほうを採用しかけました。資料と指示が割れているのに、なんとなく後から聞いた話を信じてしまったわけです。
この失敗から、毎回この4ステップを踏むようにしています。
Step 1: 媒体を特定する
その広告文はGoogle広告 / Yahoo広告 / 両方 / 不明のどれ向けか。不明なら、作業を進める前に必ず確認します。両方向けなら、共通NGと各媒体の個別NGの両方を適用します。媒体が決まらないうちに照合を始めると、どの基準で見ているのか自分でも曖昧になります。
Step 2: 媒体別のNGワードリストを照合する
特定した媒体のNGワードリストと、広告文を逐語で照合します。見出し・説明文・コピーすべてを対象にします。「だいたい大丈夫そう」で流さず、一語ずつ突き合わせるのがコツです。
Step 3: 矛盾を検出したら確認する
ここが最重要の教訓です。既存資料とユーザー指示(あるいは別の情報源)が矛盾していたら、自己判断で進めません。次のように、矛盾を明示して確認を取ります。
「再生医療の表現について、以下の矛盾を検出しました:
・資料: Google広告ではNG
・ご指示: 使える
どちらで進めますか?」
矛盾を「最新の指示を優先」のような暗黙ルールで処理すると、間違った方を採用するリスクがあります。私が踏みかけたのは、まさにこの罠でした。
Step 4: 違反なしを明記して出力する
照合が通ったら、「Google広告基準で照合完了」のように、どの媒体基準でチェックしたかを明記して出力します。後から「これは何の基準で確認したのか」を辿れるようにしておくと、媒体を取り違えたまま流用する事故を防げます。
場当たり出稿と、媒体別照合フローの違い

このチェックフローを入れる前と後で、何が変わるかを並べます。
Before(場当たり出稿) | After(媒体別照合フロー) | |
|---|---|---|
媒体の扱い | 「広告文」をまず作り、後から媒体に流用 | 媒体を特定してから広告文を照合 |
審査落ち | 媒体差を見落として落ちる | 出稿前に媒体差を潰せる |
アカウント停止リスク | 同じ違反の繰り返しで停止の恐れ | 違反を入口で止めて低減 |
矛盾した情報 | なんとなく片方を採用 | 矛盾を明示して確認してから採用 |
チェックの記録 | どの基準で見たか残らない | 「◯◯基準で照合済み」を明記 |
差は「広告文が先か、媒体が先か」の一点です。広告文を先に作って後から媒体へ振り分けると、媒体差は必ず見落とします。媒体を先に決めてから照合する。順番を変えるだけで、審査落ちとアカウント停止のリスクがまとめて下がります。
媒体別のNGワード管理は、自社でやるか代理店に任せるか
ここまでが手順の話です。実際の運用では、このNGワード照合を誰が・どう回すかを決める必要があります。広告担当が自前で媒体別のNGワードを管理するか、媒体別の知見を持つ代理店に任せるか。判断材料を並べます。
判断軸 | 自社で管理が向く | 代理店に任せるが向く |
|---|---|---|
出稿する媒体の数 | 1媒体に絞っている | 複数媒体に同時出稿している |
媒体ポリシー改定の追跡 | 担当者が定期的に追える体制がある | 改定を追う人手・時間がない |
医療広告ガイドライン・薬機法の知識 | 社内に詳しい人がいる | 専門知識を持つ人がいない |
出稿の頻度・量 | 少なく、都度じっくり確認できる | 多く、毎回の照合が回らない |
過去の審査落ち・停止の経験 | ほぼない | 落ちた経験がある/不安が大きい |
医療広告のNGワードは、媒体が増えるほど・改定が入るほど管理が重くなります。1媒体だけ、出稿量も少なく、社内に医療広告ガイドラインの知識がある人がいるなら、自社で媒体別リストを持って回すのが安く確実です。
逆に、複数媒体に同時出稿していて、ポリシー改定を追う人手がなく、審査落ちで止まった経験があるなら、媒体別の知見を持つ代理店に任せたほうがリスクを抑えられます。
こんなケースは「自社管理」「代理店任せ」のどちらも要注意
正直に挙げておくと、向かないパターンもあります。
- 代理店に丸投げして中身を見ない:媒体別の照合をしているか、どの基準で見たかを報告させないと、停止リスクは代理店任せでも消えません。代理店任せで起きがちな失敗はGoogle広告を代理店任せにして起きる失敗でも整理しています
- 自社管理だが追跡担当が一人だけ:その人が辞める・異動すると、媒体ポリシーの最新知識が社内から消えます。属人化したNG管理は、改定のたびに穴が開きます
- NGワードリストを一度作って放置:媒体ポリシーは更新されます。「去年作ったリスト」で照合し続けると、いつの間にか今の基準とズレます
自社で持つにせよ任せるにせよ、「誰が媒体ポリシーの改定を追い続けるのか」を決めていないと、どちらの体制でも穴が開きます。
出稿前チェックリスト
媒体に入稿する前に、次を確認しておくと媒体差の見落としを防げます。
- この広告文はどの媒体向けか特定したか(Google広告 / Yahoo広告 / 両方)
- 特定した媒体のNGワードリストと逐語照合したか(見出し・説明文・コピーすべて)
- 「治る」「100%」「副作用なし」など全媒体共通NGが入っていないか
- 「再生医療」「幹細胞」など媒体で分かれる表現を、その媒体の基準で確認したか
- 資料と指示が矛盾していないか。していたら確認を取ったか
- どの媒体基準で照合したかを記録に残したか
- 参照したNGワードリスト・媒体ポリシーが最新版か
このリストを通せば、媒体差による審査落ちの大半は出稿前に潰せます。
まとめ:「媒体特定 → 媒体別照合 → 矛盾は確認」
医療広告のNGワードで媒体差にハマらない原則を、もう一度整理します。
- 医療広告のNGワードは媒体ごとに違う(再生医療・幹細胞はGoogle広告NG / Yahoo広告OK、2026年5月時点)
- 広告文を作る前に媒体を特定し、その媒体のNGワードと逐語照合する
- 「治る」「100%」「副作用なし」は全媒体共通でNG
- 資料と指示が矛盾したら、自己判断せず確認する
- NGワードを自社管理するか代理店に任せるかは、媒体数・改定追跡・社内知識・出稿量で判断する
医療広告は、媒体差を知らないと「同じ文なのに片方だけ落ちる」で消耗します。最悪の場合はアカウント停止や法令リスクに触れます。「媒体を特定してから、その媒体の基準で照合する」を体制として回せば、こうした事故はほとんど防げます。
繰り返しになりますが、本記事は2026年5月時点の一般的な傾向のまとめです。各媒体のポリシーは更新されるため、実際の出稿前には必ず最新の媒体ポリシーと、薬機法・医療広告ガイドラインの専門的確認を行ってください。
医療広告の媒体別コンプライアンス体制でお困りなら
複数媒体に出していて媒体ごとのNGワード管理が回らない。審査落ちやアカウント停止が不安だが、媒体ポリシーの改定を追える人が社内にいない。医療広告ガイドラインや薬機法まで含めて誰がチェックするか決まっていない。こうした状態は、最初の体制設計で大きく変わります。
f2t.jpでは、医療系広告の運用設計から、媒体別のNGワード照合・コンプライアンスチェック体制の構築まで一貫してお手伝いしています。まずは「出稿している媒体・出稿量・社内の知識・過去の審査落ち」を一緒に棚卸しして、自社管理と代理店活用のどちらが合うかを整理するところから始められます。お問い合わせフォームからご相談ください。
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