Hyperframesとは何か、料金はいくらか。広告動画を自宅のPCだけで作った経営者の実例

広告動画を1本、制作会社に頼むといくらかかるか。多くの中小企業で、見積もりは5〜10万円、納期は2〜3週間、修正は2〜3回まで。月3本回せば年間180万円です。この数字の前で足が止まって、動画広告に踏み出せていない経営者を、私は何人も知っています。
その前提が、私自身の手元で崩れました。
ある医療系のサービスで、Meta広告に流す15秒の縦型動画を1本、自宅のPCだけで作りました。外注ゼロ、納期は当日中、しかも医療広告ガイドラインのチェックまで済ませた状態で。かかった時間は4時間。追加費用は実質ゼロです。使ったのはClaude CodeとHyperframesという2つのツールの組み合わせでした。
この記事は技術解説ではありません。「広告動画は外注するもの」という前提が本当に崩れているのか、経営の意思決定に使える材料として書きます。まず、多くの人が検索して確かめたい2つの点、Hyperframesとは何か、料金はいくらかから片付けます。そのあとに、私が実際にやった作業と、自社に入れるかどうかの判断材料を並べます。
Hyperframesとは何か
一言でいうと、動画をHTMLで書いて書き出すツールです。HeyGenという会社がオープンソースで公開しています。
これまでの動画制作は、After EffectsやPremiereといった専用ソフトを開いて、タイムライン上で素材を並べ、エフェクトをかけて書き出す作業でした。ソフトの操作に習熟が必要で、その人材が希少だから外注は高くつく。ずっとこの構造でした。
Hyperframesはここを変えます。ウェブサイトを作るときと同じように、HTMLとCSSで「画面に何を表示するか」を書く。そこに「この要素は0秒から3秒に出す」という時間の情報を書き足す。あとはツールがそのHTMLを動画ファイル(MP4)に変換します。
何が効くのかというと、ウェブ制作の技術がそのまま動画制作に使えるようになる点です。世界中のエンジニアが積み上げてきたHTMLの知識が、まるごと動画の知識に化ける。
ここにClaude Code(Anthropicが出しているAIアシスタント)を組み合わせると、経営者がHTMLを一行も書かなくてよくなります。「こういう動画を作って」と日本語で伝えるだけで、裏でHTMLが生成され、それが動画に変換される。動画ソフトの操作も、コードの知識も要りません。要るのは「何を作りたいか」を言葉にする力だけです。
Hyperframesの料金はいくらか
結論から書きます。Hyperframes本体は無料です。オープンソースなので、ツールそのものにライセンス料はかかりません。
では実際にいくらかかるのか。かかるのはHyperframesの外側です。
Claude Codeの利用料。有料プランで月額数千円です。私の場合、動画を何本作ってもこの月額の中に収まりました。1本作っても10本作っても月額は変わらない。ここが外注との一番の違いです。
音声(ナレーション)の生成に使う音声合成サービス。日本語の品質を上げようとすると、日本特化型のサービスを使うことになります。ここに別途料金が発生する場合があります。使うサービスやプランで変わるので、金額の目安は要確認です。無料枠で試せるものもあります。
素材(写真や画像)。既存のランディングページから流用したり、手持ちの素材を使えば追加ゼロ。ストック写真を買うなら別途。
外注との比較を並べると、こうなります。
項目 | 制作会社に外注 | HyperframesとClaude Codeで内製 |
|---|---|---|
1本あたり費用 | 5〜10万円 | Claude Code月額数千円の中に収まる(本数無制限) |
納期 | 2〜3週間 | 当日中(今回は4時間) |
修正回数 | 2〜3回まで、以降は追加費用 | 何度でも(今回は15回作り直した) |
ツール本体 | ソフト・人件費に含む | Hyperframesは無料 |
「動画は1本いくら」という変動費が、「月額いくらで作り放題」という固定費に変わる。経営の目線で言うと、この一点が大きい。作れば作るほど1本あたりのコストが下がっていくからです。
実際に作ってみた。4時間で広告動画が完成した話
ここまでの説明だと「本当にそんなに簡単なのか」と疑うはずなので、私がやった作業をそのまま出します。
依頼は、ある医療系サービスのMeta広告用、15秒の縦型動画。SNSのフィードを流し見しているユーザーの手を止めて、ランディングページに送る。よくある広告クリエイティブです。
これを制作会社に出すと、相場は5〜10万円、納期2〜3週間、修正は2〜3回まで。それを自分で作ってみたら、素案から最終確定まで4時間で終わりました。内訳は、訴求設計と原稿に30分、初稿生成に30分、試行錯誤に2時間、医療広告ガイドラインの自動チェックに30分、最終確認とMeta広告用の規格調整に30分。
外注なら2週間かかる作業が、平日の午後で片付いた。しかもコストはClaude Codeの月額の中。追加費用はゼロです。
なぜ15バージョンも作り直したのか
ここで正直に書いておきたいのが、AIが一発で完璧な動画を出してくれるわけではないという点です。
今回、初稿から最終版まで15回作り直しました。V1からV15まで、全部違うバリエーションを試しています。なぜそんなに、と思うはずなので、中身を書きます。
最初の数バージョンはビジュアルの調整でした。V1はテキスト中心の抽象的なフック。「諦めていませんか」みたいな一般論です。これでは広告のスクロールは止まらないと判断して、具体的な痛みのチェックリストに差し替えたのがV2。ランディングページから実際の写真を持ってきて迫力を出したのがV3。ここで訴求の方向は固まりました。
次にハマったのが音声です。最初は汎用的な英語圏の音声合成を使っていたのですが、出てくる声は英語訛りが強くて、日本語ネイティブの耳には引っかかる。エンジンを変え、また変え、なかなか自然にならない。V4は英語圏TTSの声、V5は別の英語圏モデル、V6でようやく日本特化型に切り替えて品質が一段上がりました。
途中に大事な工程が入ります。医療広告ガイドラインの自動チェックです。医療系は薬機法や医療法施行規則で、広告に使える表現が厳しく制限されています。「治る」「効果がある」「他より優れている」は、たとえ事実でも使えない。専用のチェック機能(私の運用ではmedical-checkerと呼ぶエージェント)に通したら、4箇所の修正必須が出ました。「手術しかない」を取り消し線で否定する演出は比較優良広告に該当しうる、治療実績の数値には効果保証の注釈が要る、「ベストセラー」表記には出典が要る、「カンタン3秒」は誇張の可能性。全部直してV7、画像を整理してV8。人がチェックしていたら見落としそうな表現が機械で拾えたのは、素直に助かりました。
ここから先は音声の自然さをとことん追い込むフェーズ。日本語の音声合成は、エンジンとボイスの組み合わせで品質が大きく動きます。明るすぎる声、若すぎる声、アニメ調すぎる声、平坦すぎる声。どれも落として、医療系にふさわしい上品で落ち着いた声を探し続けました。V9からV13まで各エンジンのボイスを比較して、V14で大人の女性向けのボイスモデルにたどり着く。これを短縮版15秒とフィード版17秒の両方で書き出して、V15で完成です。
試行回数で言えば、ボイスだけで7種類、ビジュアル調整で5回、ガイドライン対応で2回。
15回直したという事実は、「AIに任せれば完璧」という単純な話ではないことを示しています。でも、それ以上に大事なのは「人間が15回試せる環境ができた」ことのほうです。外注で15回直しを頼んだら、追加費用で当初予算の3〜5倍、納期は数ヶ月。だから現実には、外注では修正2回くらいで妥協するしかなかった。それが今は何度でも試せる。コストが下がった以上に、品質を追い込める天井が上がった。ここが本当の変化だと思っています。
自社で作る場合と外部に頼む場合、どちらを選ぶか
とはいえ、全部を自社に持ち込むのが正解とは限りません。判断の軸を先に決めておくと、迷いません。
自社で作るのが向いているのはこういうケースです。動画の本数が多い。修正を何度も回したい。市場の変化に合わせて素早く出したい。規制業種でチェック工程を毎回はさみたい。この4つのどれかに当てはまるなら、内製の効果が出ます。1本ごとの費用が消えて、スピードと試行回数が武器になるからです。
逆に外注が向いているのはこういうケース。年に1〜2本しか作らない。実写の撮影やハイエンドな映像表現が要る。社内に「何を作りたいか」を言語化できる人がいない。この場合は、内製の立ち上げコストのほうが割高になります。
現実的には、二択ではなく使い分けです。数を回す運用型のクリエイティブは自社で、勝負どころの1本はプロに、という切り分けが多くの中小企業には合うはずです。
費用と期間の目安
数字で整理します。すべて今回の実例か、現行の相場に基づく目安です。
内製の初期投資は、Claude Codeの契約(月額数千円)と、最初の1本を作りきる時間。今回は4時間でした。慣れれば2本目以降は同じ手順の繰り返しなので、もっと短くなります。
1本あたりのランニングは、Claude Codeの月額に収まる範囲。音声合成サービスを有料で使う場合は別途で、金額はサービス次第なので要確認です。
外注の目安は、1本5〜10万円、納期2〜3週間、修正2〜3回まで。これは今回の依頼で実際に取れる相場観です。
損益分岐でざっくり言うと、月に2本以上作る想定なら、内製の立ち上げは早い段階で回収できる計算になります。
やる前に知っておきたい失敗パターン
過度な期待で始めると、こんなところでつまずきます。15本の試行錯誤で私が実際にぶつかった3つです。
一つ目は音声の自然さ。日本語の音声合成は英語より選択肢が少なく、品質のばらつきも大きい。ここで覚えておくべきは、最初の声に違和感があったら設定をいじるのではなくエンジンごと変える、という判断です。同じエンジンの中でパラメータを回しても、声の質は本質的には変わりません。根本から違うエンジンを試せるかどうかで、仕上がりが分かれます。
二つ目はコンプライアンス。医療、金融、士業、教育など規制業種では特に効きます。AIが書き出した動画に、自分では気づかない抵触表現が紛れ込むことがある。対策は、書く側のAIとチェックする側のAIを分けること。片方のAIに両方やらせると見落とします。規制業種なら、チェック工程を最初から仕組みに組み込んでおく。AIの出力を無条件で信用しない、この姿勢が要ります。
三つ目はブランドの一貫性。これが意外と手ごわい。AIは指示通りに作るのは得意ですが、「自社のブランドに合っているか」の判断は苦手です。ロゴの位置、配色、フォント、ナレーションのトーン。ここは経営者かブランド責任者が決めるしかない。裏を返すと、ブランドガイドが明確な会社ほどAI動画の効果が出ます。これからは、ブランド整備が「あったほうがいい」ではなく「AIを使う前提条件」になっていきます。
経営者として押さえる5つのポイント
ここまでを、意思決定に直結する形で5つに畳みます。
広告動画のコスト構造が変わったと認識する。「1本数万円で外注するもの」という前提は、もう更新できます。
技術習熟ではなく判断力で決まる。コードは書けなくていい。何を頼み、出てきたものをどう見て、どこを直させるか。経営者の判断の質がそのまま成果物の質になります。
「15回作り直す」を許容する文化を持つ。外注時代の妥協ラインを、AI時代の基準に上書きする。作り直しは無駄ではなく、品質への投資時間です。
規制業種はチェックを工程化する。毎回手作業ではなく、別のチェック工程を仕組みで通す。長い目で見て、ここのROIは高い。
まず1本作る。「面白そうだけど、うちは関係ない」と思ったなら、その判断は早すぎます。1本作ると、自社のどこに使えるかが見えてくる。広告、商品紹介、社内研修、採用、応用範囲は想像より広いです。
広告クリエイティブ制作を自社に入れると何が変わるか
最後に、コスト削減の一段先の話をします。動画を「買うもの」から「作れるもの」に変えると、事業側で3つ動きます。
スピードが変わる。新商品のローンチ動画を思いついた日に作れる。キャンペーンの動画を開始前日に量産できる。市場の変化に追いつく速さが桁で変わります。
A/Bテストが現実になる。1本5万円かかるなら、3本同時に試すのに15万円。だから今まで大きな予算がないと回せなかった。自社で作れば追加コストはほぼゼロ。毎週違うクリエイティブを試すのが当たり前になります。
経営者の事業理解が動画に乗る。外注の動画はどうしても「制作会社が想像する事業」になります。本当の魅力は、外からは完全には見えない。経営者自身が作った動画には、事業の本質が乗る。これが刺さらないわけがない。
ここまで読んで「自社でも試せそうだ」と思えたなら、まずは1本、外注で作っているものを再現するところから始めてみてください。それが一番早い。
一方で「面白そうだけど、どこから手をつければいいか分からない」「自社の商材だと何を作ればいいのか整理がつかない」という段階なら、その整理から一緒に考えます。F2Tでは、AIで広告クリエイティブや業務を「自社で回せる形」に落とすところまで設計しています。売り込みではなく、まず現状を並べて壁打ちする場として使ってください。
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「動画は外注するもの」という前提を、一度だけ自分の事業から外してみる。そこから見える選択肢が、想像より多いはずです。
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この記事を書いた人 Tomohiko Akiyama(F2T) AIエージェント組織を自分の業務で毎日動かしている実装者。このブログの記事は、すべてその実作業の記録から生まれています。
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