AIにLP分析させると的外れになる理由。画像の中の文言を読ませているか

AIにLP分析させると的外れになる理由。画像の中の文言を読ませているか
LP(ランディングページ)をAIに見せて、「このページのどこが弱いか診断して」と頼む。広告やサイトの改善を任されている人なら、一度はやったことがあるのではないでしょうか。URLを渡すだけで、AIが構成の良し悪しや訴求のズレを返してくれる。便利になったものです。
ところが、返ってきた診断結果を読んで「いや、現場の感覚と違うぞ」と引っかかった経験はないでしょうか。「このLPは悩みへの共感が足りない」と言われたが、実際のページには悩みがびっしり書いてある。「料金が不透明」と指摘されたが、画面には料金表が出ている。AIの分析が、なぜか実物と食い違う。
この食い違いには、はっきりした原因があります。AIにLPのURLを渡しても、AIはそのページに書かれている文字を全部は読んでいないことがある。とくに日本のLPでは、これが頻繁に起きます。本記事では、AI分析が的外れになる仕組みと、たった1つのチェックで精度が変わる方法を説明します。
結論:AIは「画像の中の文字」を、読ませなければ読まない
先回りして要点だけ言います。AIにLPのURLを渡したとき、AIが読んでいるのは主にHTMLのテキスト部分です。ページの見出しタグや本文として書かれた文字は拾える。けれど、デザイン画像の中に焼き込まれた文字は、そのままでは読み取れません。
日本のLPの多くは、ファーストビューも悩みセクションも料金表も、まるごと画像で作られています。つまり訴求の核心が全部「画像の中の文字」になっている。この状態でURLだけ渡してAIに分析させると、AIは肝心の中身を見ずに、ページの周辺情報だけで判断してしまう。だから「悩みがない」「料金が不透明」のような、実物と逆の結論が出る。
防ぐ方法は1つです。画像LPだと分かったら、その画像をAIに「画像として」見せて、中の文字を読ませてから分析させる。マルチモーダル(=文字だけでなく画像も読めるAIの能力)を使えば、AIは画像内の文言を抽出できます。やることはこれだけで、分析の的中率がまるで変わります。
なお、本記事はAIにLPを「診断させる」側の話です。AIにLPを「作らせる」側に興味がある方は、Claude CodeでLPを作った実例を別記事にまとめてあります。作る側と診断する側で、AIへの渡し方が違うのが面白いところです。

実話:テキストだけで分析したら、結論がまるごと覆った

ある医療系の案件で、複数のLPをAIに分析させたときの話です。
このとき渡したのは、各LPのtitleタグ(=ブラウザのタブや検索結果に出るページ名)と、HTMLから機械的に抜き出せるテキストだけでした。それをもとにAIが返した診断は、こうです。「これらのLPは患者の痛みを起点にしているが、その先の受け皿、つまり"だからこう解決できる"という訴求が見当たらない」「あるページは手術を前提にした書き方で、来訪者の状況と噛み合っていない」。もっともらしい分析に見えました。
ところが、レビューで「ページに書いてある内容と違うのでは」という指摘を受けた。そこで実際のLP画像をダウンロードして、AIに画像として読ませ直したところ、結論がひっくり返りました。
ファーストビューの画像には、来訪者が探している新しい選択肢を名指しした訴求が大きく入っていた。悩みセクションの画像には、「今の治療では満足できない」「別の方法を勧められたが迷っている」といった具体的な悩みが、これでもかと書き込まれていた。料金表まで画像の中にあった。AIが「受け皿がない」と言ったものは、全部画像の中に存在していたのです。
つまり最初の分析は、LPの中身を見ずに出した結論でした。HTMLのテキストだけ見て「ない」と判断したものが、画像を読ませた瞬間に「ある」に変わった。診断の前提そのものが間違っていたわけです。
なぜ起きるか:日本のLPは「画像でできている」
この食い違いは、担当者のミスというより、日本のLPの構造的な事情から来ています。
ひとつは、デザインの自由度を優先して、訴求パートをまるごと画像で作る制作スタイルが定着していること。とくに医療・美容・健康食品のような、見せ方が成約率を大きく左右する分野ほど、ファーストビューから料金表までフルに画像化されている傾向があります。凝ったレイアウトや手書き風の文字は、テキストでは再現しにくいからです。
もうひとつは、titleタグが実態とズレやすいこと。titleはページ公開時に設定したまま、何年も放置されがちです。途中で訴求を変えても、画像は差し替えてもtitleは古いまま残る。すると、AIがtitleを手がかりに分析した場合、何年も前の古い文言に引きずられた診断になる。本記事の実話でも、titleと画像内の実訴求が食い違っていました。
AIは渡された情報の範囲でしか判断できません。画像の中の文字を渡していないなら、AIにとってそこは「空白」です。空白を前提に分析すれば、空白なりの結論しか出ない。AIが悪いのではなく、読ませる情報の選び方の問題です。
正しい手順:AIにLPを分析させる3ステップ

では、どう渡せば正しく分析できるのか。3ステップで整理します。
ステップ1:まず「画像LPかどうか」を判定する
最初にやるのは、そのLPがテキストでできているか画像でできているかの見極めです。判定はシンプルで、ページのHTMLを取得して、本文として読めるテキストが薄く、画像(imgタグ)が大量にあるなら、それは画像LPです。
文字がしっかりHTMLに書かれているページなら、URLを渡すだけでAIはちゃんと読めます。問題になるのは画像LPのときだけ。だから最初にここを切り分けます。
ステップ2:核心の画像をAIに「画像として」読ませる
画像LPだと分かったら、訴求の核心が入っている画像をダウンロードして、AIに画像ファイルとして渡します。全部の画像でなくて構いません。優先して読ませるのは次の3種類です。
- ファーストビュー画像(fv.png のような、ページ最上部の第一印象を決める画像):そのLPが誰に何を訴えているかが詰まっている
- 悩み・課題セクションの画像:来訪者のどんな状況に語りかけているかが分かる
- 料金・プランの画像:価格訴求と、後述するコンプライアンス表記の確認に直結する
この3つを画像として読ませて、AIに文言を抽出させてから、はじめて「このLPの訴求は何か」を判定させます。順番が大事で、抽出が先、評価が後です。
ステップ3:titleタグは「検索での見え方」の評価だけに使う
titleタグやメタ情報は、LPの中身の根拠にしません。これらは「検索結果やブラウザのタブでどう見えるか」を評価するための材料です。クリックされやすいか、キーワードが入っているかを見るには使える。けれど、LPが実際に何を訴えているかの根拠にはしない。中身は画像から読む、見え方はtitleから読む。役割をはっきり分けます。
Before / After:何が変わるか
同じLPでも、渡し方を変えると分析がこう変わります。
観点 | テキストのみで分析(Before) | 画像を実読して分析(After) |
|---|---|---|
AIが見ている情報 | HTMLテキスト+titleタグ | 画像内の文言+HTMLテキスト |
訴求の判定 | 「悩みへの共感がない」と誤判定 | 悩み・解決・料金まで正しく把握 |
titleとのズレ | 古いtitleに引きずられる | titleは見え方の評価に限定、実態は画像から |
結論の信頼性 | 実物と食い違い、現場感覚とズレる | 実物に即した診断になる |
副産物 | なし | 料金表記などコンプラ確認も同時にできる |
最後の行が地味に効きます。料金画像を読ませる過程で、価格の表記方法や注意書きの有無も目に入る。医療や美容のように表記ルールが厳しい分野では、訴求の診断ついでにコンプライアンス上の確認もできてしまう。一石二鳥です。
AIにLP診断を任せる前のチェックリスト
社内でAIにLP分析をさせるとき、あるいは外注先にLP診断を頼むとき、次を確認しておくと的外れな結論を避けられます。持ち帰って使ってください。
- そのLPは画像でできているか(HTMLのテキストが薄く画像が多ければ画像LP)
- AIに画像を「画像として」渡したか(URLを渡しただけでは画像内の文字は読まれない)
- ファーストビュー・悩み・料金の画像を読ませたか(訴求の核心はこの3つに集中している)
- titleタグを中身の根拠にしていないか(titleは見え方の評価だけに使う)
- 診断結果が現場の感覚と食い違うとき、画像を読ませ直したか(食い違いは読み落としのサイン)
外注に出す場合は、「画像LPの中身まで読んで分析しますか」と一言聞くだけで、相手の実力がだいたい分かります。URLを投げてテキストだけ拾うのか、画像まで実読するのか。ここで分析の質が分かれます。
このやり方が向かないケース
どんなLPでもこの手間をかけるべきか、というとそうではありません。次の場合は、画像の実読まではいりません。
- テキスト中心のLP:本文や見出しがHTMLにしっかり書かれているページは、URLを渡すだけでAIが正しく読めます。BtoBのサービスサイトや、記事型のLPに多い構成です
- 数値データの分析が目的:知りたいのが訴求の良し悪しでなく、流入数や直帰率などの数字なら、それはアクセス解析の領域です。AIにLP画像を読ませる話とは別物
- ページが大量にあり、まず当たりをつけたい段階:何百ページもある中から怪しいものを絞り込む初期スクリーニングなら、テキストでざっくり見るのも手。ただし最終判断の前には、必ず候補の画像を実読する
要は、訴求の中身を正確に診断したいとき、かつ相手が画像LPのときに効くやり方です。逆に言えば、その条件に当てはまるなら、この一手間を省くと分析がまるごと無駄になります。
まとめ:URLを渡すだけでは、AIはLPの半分しか見ていない
AIにLP分析させたのに結論が的外れになる。その多くは、AIの能力不足ではなく、読ませる情報を絞り込めていないことが原因です。
- AIはURLを渡してもHTMLのテキストしか読まないことがある。画像の中の文字は、画像として渡さないと読まれない
- 日本のLPは訴求の核心が画像になっていることが多く、titleタグは実態とズレやすい
- 画像LPだと判定したら、ファーストビュー・悩み・料金の画像をAIに読ませてから訴求を評価する
- titleタグは「検索での見え方」の評価に限定し、中身の根拠にしない
実話で紹介したとおり、テキストだけで出した「受け皿がない」という診断は、画像を読ませた瞬間に覆りました。AIに診断を任せること自体は正しい。ただ、何を渡すかを間違えると、もっともらしい間違いが返ってくる。チェック1つで、その間違いは防げます。
LP・広告の診断と改善でお困りなら
「AIで自社LPを診断させてみたが、結論が腑に落ちない」「画像で作ったLPの訴求が、本当に刺さっているのか自信がない」。こうした引っかかりは、分析の手順を整えれば解消できることが多いものです。とくに画像LPは、見た目の印象だけで良し悪しを決めてしまいがちな領域です。
f2t.jpでは、LPや広告の訴求診断から、改善の設計・実装まで一貫してお手伝いしています。画像LPの中身まで踏み込んだ分析や、AIを使った診断の進め方の整理もご相談いただけます。お問い合わせフォームから、自社のLPで気になっている点をお聞かせください。
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